- 作者: 平尾誠二,金井壽宏
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2009/12/16
- メディア: 新書
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本気で強くなりたいと思っているなら,100対0で負けて大恥をかくかもしれないけれど,もしかしたら10対9で勝てるかもしれない戦い方を選ばなければならない.
結果だけで判断する監督の下にいると,選手は怒られてはいけないから一か八かの際どいタイミングのパスを出さなくなるか,萎縮してプレーの思い切りが悪くなるかのどちらかです.
新人のほうは,考えるより先に上司にあれこれ言われるものだから,しだいに仕事というのは上司の指示に従っていればいいんだと思うようになります.
ほとんどのコーチはまず褒めません.それでは,目の前で手本を示されても,話を聞く気になんてなれませんよ.
強い力で突き放すのは突き放すのが目的ではなく,突き放した反作用でこちらに戻ってくることを期待しているのです.かつては,選手の反発係数が一様に高かったですから,そのやり方が非常に効果的でした.ところが,相手の反発係数が低くなると,このやり方は効率が悪い.そこで,反発係数を高めるよりも,長所を見つけて褒めたり,おだててその気にさせたりすることで,こちら側に積極的に引き込むという方法が,現在では主流になりつつあるのです.
うぬぼれや錯覚と無縁の選手はいません.自身をもつのはいいのですが,自分の実力の過大評価は,その選手の成長を妨げる要因になりますから,できるだけストレートに伝えます.そこで,「おまえは気が付いていないだろうけれど,この部分にはすごい可能性がある.そこをこうやって磨いたらどうだ」という話を必ずセットにしてするのです.
モチベーションに関して言わせてもらえば,いちばん重要なのは「自分が何をしたいか」を自覚することだと思います.そして,その「したいこと」と「しなければならないこと」をいかにして近づけるかがポイントです.
自分にプライドがあるからチームにもプライドをもてる.ですから指導者は,選手のプライドを熟成させてあげることを自分の重要な役割として自覚する必要があります.チームのなかで個人の責任を果たすためには,いつもいい状態でプレーしなければならない.いい状態を保つためにはこういう生活態度がベストであると順序立てて教え,みずからの意志で酒やタバコを遠ざけるようにさせるのが理想ですし,ほんとうの指導だと思います.
ミスをしたときは反省などせず,「さぁミスを取り返すぞ」と,いままで以上に積極的かつ大胆にプレーしなければならないのだ.試合中でも反省することがよくありました.それで,知らず知らずのうちにプレーが小さくなってしまっていたのです.