- 作者: 野村克也
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2012/12/10
- メディア: 新書
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エースと4番がいなかった.「中心なき組織は機能しない」.これは私の持論であるが,エースと4番はまさにチームの中心選手である.
指示の目的とは何か.それは選手の責任を軽くするためにするものだ.具体的な指示によって,選手に「失敗したらコーチの責任なんだから,思い切っていこう」と型の荷を下ろしてやる.あるいは荷物を半分持ってやる.勝つための視点と,選手の負担を軽くしてやる指示は表裏一体である.
1軍と2軍では,同じ守備のシフトを教えるのでも,教え方が違います.2軍では,こちらの指示と違っているなと思ってもそのまま続けさせます.その場面が終わった後で,成功しても失敗してもじっくり話をする.教育的指示とでも言えばいいんでしょうか.やらせて失敗させて理解させるようにします.でも1軍では,あえて失敗させるようなことをしたら負けてしまう.だから事前に指示をしておくことが絶対に必要.予防的指示が必要になります」
弱いチームに共通するのは,似たような選手が多く集まることだ.
コーチたちは「選手任せ」になってはいけないし,必要以上に「選手の理解者」になってもいけない.私はいつも「選手の顔色を見て指導するな,私の方を向いて仕事をしろ.最終的に責任を取るのは,必ず監督なのだから,監督のほうだけを見て仕事をしてほしい.ダメだった場合には,私一人が責任を取ればいいだけのことだ」とコーチたちに訴えた.