もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

企業の目的と使命を定義するとき,出発点は一つしかない.顧客である.顧客によって事業は定義される.顧客を満足させることこそ,企業の使命であり目的である.

企業の目的は,顧客の創造である.したがって,企業は二つの,そして二つだけの基本的な機能をもつ.それがマーケティングイノベーションである.
真のマーケティングは顧客からスタートする.「われわれは何を売りたいか」ではなく,「顧客は何を買いたいか」を問う.「われわれの製品やサービスにできることはこれである」ではなく,「顧客が価値ありとし,必要とし,求めている満足がこれである」という.

専門家にはマネージャが必要である.自らの知識と能力を全体の成果に結びつけることこそ,専門家にとって最大の問題である.
専門家は理解してもらってこそ初めて有効な存在となる.専門家は自らの顧客たる組織内の同僚が必要とするものを供給しなければならない.
このことを専門家に認識させることがマネジャーの仕事である.組織の目標を専門家の用語に翻訳してやり,逆に専門家のアウトプットをその顧客の言葉に翻訳してやることもマネジャーの仕事である.

人のマネジメントとは,人の強みを発揮させることである.組織の目的は,人の強みを生産に結びつけ,人の弱みを中和することにある.
人は最大の資産である.

イノベーションの戦略の一歩は,古いもの,死につつあるもの,陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることである.イノベーションを行う組織は,昨日を守るために時間と資源を使わない.昨日を捨ててこそ,資源,特に人材という貴重な資源を新しいもののために解放できる.

成果とは何かを理解しなければならない.成果とは百発百中のことではない.百発百中は曲芸である.成果とは長期のものである.すなわち,まちがいや失敗をしない者を信用してはならないということである.それは,見せかけか,無難なこと,下らないことにしか手をつけない者である.成果とは打率である.弱みがないことを評価してはならない.そのようなことでは,意欲を失わせ,士気を損なう.人は,優れているほど多くのまちがいをおかす.優れているほど新しいことを試みる.

組織構造は,組織のなかの人間や組織単位の関心を,努力ではなく成果に向けなければならない.成果こそ,すべての活動の目的である.
成果より努力が重要であり,職人的な技能それ自体が目的であるかのごとき錯覚を生んではならない.仕事のためではなく成果のために働き,贅肉ではなく力をつけ,過去ではなく未来のために働く能力と意欲を生み出さなければならない.

本のカバーの見た目以上に読み応えがある内容でしたね!