人を見抜く技術

桜井氏の本をだいぶ読んできたので,
氏の基本となるお考えがわかってきたかな...

柔らかい動きは,同じ力を出すにしても,余分な力を必要としないため効率がよく,スタミネ切れもしにくい.動きの”省エネ”といってもよいだろう.さらに,柔らかい動きは次の動きに入りやすいし,相手の変化にもついていくことができる.
私が考える勝負の三原則は,「臨機応変」「適材適所」「柔軟性」だ.臨機応変はどんな状況にも動じず冷静に対応するということ.適材適所はその場その場にふさわしい行動,動きをとらなければならないということ.そして最後の柔軟性は,肉体的な柔軟性ということではなく思考的な柔軟性,「どう攻め居ようか,どう受けようか」という考え方の柔らかさを示している.

上に立つ人間にこそ,譲りの精神がなければならないと思う.これは,謙虚さを売れということではない.譲るところは譲ってやる.上に立つ人間は,それをごく自然にできるようにしないといけない.私が,人間関係を柔軟かつ良好に保ってきたのは,この”譲り”の精神があったからにほかならない.

リーダーとしての立場.それはたとえるなら,海に行ったときに岩の上から潮の流れを見て,危険な場所を仲間に知らせるというようなことだ.環境・状況を見て判断を下し,それを仲間に知らせる.それがリーダーとしての立場であって,地位とか権力とかそんなものではないのだ.

能力社会では「できた子が偉い」とされる.でも私は,「できないながらも,できっこないことに挑み,がんばっている子のほうがもっといい」と考えている.
結果より,その過程,努力を認めてあげたいという気持ちがある.
そもそも人間と言うものは,評価されるからがんばるのであって,評価されなければがんばるのをやめてしまう.
能力とは結果だけでなく,その過程も含めてすべてが能力という考え方.できないながらもがんばっていたら,もう,それだけで十分にその人は能力があるのだ.

それでも愚痴を言いたいのであれば,真剣に言うのではなく,軽い相談のような形にするとか,ジョークっぽくしてしまえばいい.
真剣に話せば話すだけ,その考えにますます囚われていく.笑いながらジョーク交じりに愚痴をいえば,多少は気分も晴れる.聞いているほうも,そのほうがストレスがたまらない.

私が会社員だったとして,同じ部署に目に余るわがままぶりを発揮する人がいたら,「お前のしていることの汚さがわからないか?」と正面からぶつかる.会社での仕事というのは,独りでできることではない.いろいろな人のサポートがあってものごとが成し遂げられていくわけだから,たった一人のわがままで掻き回されてはたまらない.
私はことあるごとに「そうじゃないだろ」という球を投げる.繰り返し,繰り返し,認めていないという球を投げるのだ.
ほかでは通っていたことが通らないことに少しずつ気付き,わがままが収まっていく.

愚痴を言うならジョーク交じりに,あるいは軽い相談っぽく.これが私のおすすめする方法だ.