Suspension

たまぁ〜に読んでるブログ(ヒントになれば幸いです).12/31と01/04の話は深いです.気持ち玉をドンドンと投げちゃいました.長文ですが消えてなくならないようコチラに備忘録させていただきます(←出展を明らかにしてるからイイですよね?).

セッティングが面倒であるという話をよく耳にします。リバウンド、コンプレッション、ブローオフタイミングなどの機能を調整するダイアルやノブ、複雑過ぎて調整の加減がわからない。何気圧、空気を入れればサグがでるのか、ダイアルはどれだけ回せば最良の状態なのか、自分に最適な数値だけを簡単明瞭に教えてほしい。これが多くのお客様のご要望のようです。
何度も申し上げている通り、残念ながらこれは無理なこと。同じメーカー・同じデザイン・同じグレード・同じサイズであったとしても、個々の自転車にはリンク部などに発生する摩擦抵抗などによる個体差が存在しています。もちろんサスペンユニットにも個体差は存在します。これらの条件以外にその自転車を所有される方の体重・性別・技能などの要素が関係してくるため、無限に近い組み合わせが生まれます。(上級者と初心者では重心の位置が違っています。)
慣れないうちはサグだしをするだけで、1時間くらい簡単に経過してしまうことも珍しいことではありません。しかしその作業を何度も経験することによって、手早く行うことができるようになります。サグさえ正しく出しておけば、それなりにサスペンションは動いてくれます。
何のためにセッティングをする必要があるのかを考えてみましょう。「コーナーで前輪が滑る」を例にして説明します。この場合、中級者以上の方はリバウンド側減衰を強くすることが最初に思いつく対処法であると思います。
それは何故?
一般論でお話します。コーナーでフロントタイヤが滑るということは前輪に対する荷重が足りないためなのです。サスペンションではなく、ライダーがその足りない前輪荷重を補う場合、重心を前に移動し、ハンドルを押さえつけることによってタイヤと地面との摩擦を大きくする仕事を行います。フロントサスペンションのリバウンド側の減衰を強くすると、インナーチューブはゆっくりと戻るようになります。言い換えれば、前下がりの時間が長くなるということ。前下がりになれば、前輪の荷重が大きくなります。(後輪の荷重は小さくなります。)
前述した「人間がハンドルを押さえつけることによって前輪の荷重を増大させる。」同じ作業をサスペンションが行っているわけです。
走行状態においては、絶えずMTBは前後の荷重分布が変化しています。言い換えれば、サスペンションは前輪と後輪の間での荷重受け渡しという仕事を休まずに行っているのです。前輪から後輪、後輪から前輪、その荷重の受け渡しの際のスピードを調整する役割も、減衰調整機能が担っているとお考えください。
撃の緩和と、重量分布が変化する際のスピードの調整。サスペンションは2つの異なった仕事を行っています。皆さんはこの2つを、分けて考えることができていますか?
ブレーキをかけたときの姿勢変化は、まさに後輪から前輪への荷重の受け渡し。
(スピードが出ていれば、必ず慣性の法則は働きます。)この受け渡しをスムースに行うためにも正しいサグの設定が必要なのです。自分に最適な受け渡しスピードをセッティングで見つけることができると、MTBは格段に乗りやすくなります。
衝撃の緩和だけを考えていると、サグの重要性を認識することはできません。
以上の説明からコンプレッションの役割を大方予想できるのではないかと思います。荷重の受け渡しの際、沈み込むスピードを落とすこともコンプレッションの仕事なのです。これを低速側コンプレッションと呼びます。(プロペダルと呼ばれる機能もこれに該当します。)
基本的なコンプレッションを生み出している部分はメインピストン。低速側コンプレッションダイアルは、ダンパー内部でのオイルの流れを遅くすることによって発生する低速側コンプレッションを、メインピストン部による“基本的なコンプレッション”にプラスアルファーできる機能であるとお考えください。付加的な部分であるコンプレッション機能を調整することによってブレーキング時の沈み込みスピードを微調整することができます。また高速コーナーなどで発生するゆっくりとした周期のピッチングも、過剰気味になっているオイルの流れを抑えることによって打ち消すことができます。
前輪と後輪の関係がシーソーのようになっていることは既にご理解いただけていると思います。荷重の移動、これはサスペンションに対して上から下に向かって入力されることになります。衝撃による入力はこの逆。下から上に向かって入力される力になります。衝撃による入力スピードは、荷重の移動による入力スピードよりも速く、パルスのように鋭く短時間で入力をされます。これを緩和するために働く減衰力を高速側コンプレッションと呼びます。走行スピードが遅くなれば入力されるスピードも落ちますから、力の緩和を担当するセクションも変化します。
エアスプリングの場合、沈み込ませないようにするために空気圧を上げたり、コイル式の場合にはスプリングのレートを上げたりすることがあります。これらのスプリングはあくまでも入力されたエネルギーを受け止める役目。圧縮されたスプリングにはエネルギーが蓄えられています。スプリングはそのエネルギーを積極的に緩和しているわけではありません。その入力されたエネルギーを熱エネルギーに変換し消費する役割が減衰の仕事なのです。コンプレッションはスプリングが縮む際にそのエネルギーを熱に変換しながら入力される力を緩和し、リバウンドは縮められたスプリングが伸びる際にそのエネルギーを熱に変換しています。ご想像通り、大きな入力に対しては大きな緩和する力が必要となります。
現実には低速側コンプレッション、高速側コンプレッション、低速側リバウンド、スプリングの役割が明確に分かれているわけではありません。例えば低速側リバウンドを強くすると、その構造上、低速側コンプレッションに大きな影響が出ます。またスプリングが大きく縮んだ際、戻ろうとする瞬間には低速側のリバウンド減衰が過剰になってしまうケースがでてきます。これらの影響は実際に走行してみないことには感じることはできません。
前輪と後輪の荷重の受け渡しによる“シーソー”の調整だけではなく、それぞれの車輪に対する上からの入力、下からの入力に対してもバランスをとる必要があるのです。

素人には難しくて,よくわかんない(←特に後半)ですが,教祖の「フロントサスはタイヤ空気圧と同じように乗車前に必ず確認しないとダメですよ」という言葉の重みが少しわかったかも.感じたのは,あくまで「重み」であった「理解」ではナイので,念のため(笑).
ちなみに私のFサスは購入時のまま〜(爆).