- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/08/05
- メディア: 文庫
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微分積分なんて一体何の役に立つんだよ.以前,森岡が発した質問を思い出した.(中略)
だがあんな質問をしてきた森岡の姿勢が,石神は嫌いではなかった.なぜこんな勉強をするのか,という疑問を持つのは当然のことだ.その疑問が解消されるところから,学問に取り組む目的が生まれる.数学の本質を理解する道にも繋がる.
誰かに認められる必要はないのだ,と彼は改めて思った.論文を発表し,評価されたいと言う欲望はある.だがそれは数学の本質ではない.誰が最初にその山に登ったかは重要だが,それは本人だけがわかっていればいいことだ.