「忙しい」「時間がない」をやめる9つの習慣

「忙しい」「時間がない」をやめる9つの習慣 (だいわ文庫)

「忙しい」「時間がない」をやめる9つの習慣 (だいわ文庫)

週単位で何をやるのか決めたら,それを月曜日から金曜日までの5日で割ります.土曜日,日曜日はやれなかったことややり残したことをし,復習の時間にあてます.この方法によって,週単位の目標は次週にずれこむこともなく,また休む日もほぼ確保されます.
大事なことは,仕事の目標を時間で設定しないことです.
「今日は何時間働こう」ではなく,「今日はこの仕事をやり終えよう」という目標で仕事をするのです.

仕事をいかに早く終わらせて,自分のやりたいことをやるか.
その目的があることで,逆に仕事のほうも効率的に終えようと思えるようになって,早く済ませることもできるようになるのです.
自分のやりたいことを持つということは,仕事にも自分のやりたいことにも,両方にやる気が出てきます.
ですから,「時間がないからできない」といってだらだら仕事をしている人よりも,何倍もの時間を有効に使え,精神的にも潤うことができるのです.

原則はどんな分野であれ,「時間が読めない」と判断されたものに,あまり深入りしないほうが賢明です.
つまり,「時間を読む」とは,「時間の読めないもの」と「時間の読めるもの」をはっきりさせ,「時間を読めるもの」についてはとことんその読みを利用する.そして,「時間の読めないもの」については,できれば「君子危うきに近寄らず」を決め込む,ということでしょう.
いつ終わるのか見当もつかない,無尽蔵に時間を食いそうな遊びは,避けた方が賢明です.

気の合った友人と知的な刺激をやり取りし,大半はバカ話をしながら,とことん飲むことがあります.深酒して翌朝に残してはまずいですが,適度に酒を楽しむことは,精神衛生上には必要な時間だと考えています.
精神科医の私が言うのも妙ですが,日本に,アメリカほどメンタルクリニックが多くないのは,赤提灯があるからだと言われます.縄のれんをくぐり,酒で憂さを晴らしてストレスを溜めないよう,日本のサラリーマンは自己防衛しているわけです.
その点,アメリカ人は,こういう酒の効用をまったく理解していないといっていいでしょう.彼らが外で酒を飲むのは,おおぜいにスマイルをふりまきながら,やらた神経をつかうパーティーと相場が決まってます.そこでは,酒の席での失言も失態も,絶対に許されません.

時間を合理的に使うには,矛盾するようですが「時間を主役にしない」ことです.つまり「時間給」的発想ではなく,こなした量を基準にする「出来高」的発想に切り替えるということなのです.

黒澤氏は,1日のうち決まった時間しか撮影しないというエピソードで有名でした.昼の撮影ならば,5時に終了といったん決めたら,予定通り撮れてなくても必ずその時間には終了して解散したといいます.
というのも,「だらだらと長時間撮影を続けて俳優もスタッフも監督もヘトヘトに疲れてしまったらよいものは撮れない」が黒澤氏の持論だったそうです.
定時にはきっちりと撮影を切り上げて終了するけれど,それは明日もベストコンディションで臨んでほしいという気持ちの表れでした.
たとえ撮影日数がかかっても,俳優が何日も拘束されることになったとしても,結局その分いいものが撮れるという結果を求めたのです.
ですから,どんな仕事に関しても自分の心身のコンディションを万全にしておくこと,それから仕事によってすぐに最良の状態で取り掛かれるというメンテナンスを欠かないことは必須であるといえるでしょう.
それが,仕事の質を決定的に他と差別化する美点となるのです.