人生で必要なことはすべて落語で学んだ

どんな失敗をおかしても,「さしたる仔細はない」と嘯き,「他人が何を言おうと,知ったこっちゃねぇ」というしたたかな精神を底に持っているのかもしれません.

OA機器の発達は逆に,人間から人間らしさをうばっています.つまりぼくたちが生きていく上で欠くことのできない「間」が次第に失われていくのです.間抜けと言うのは一般的には「間延びしたノンビリとユッタリした人」を言いますが,今は逆に,「間のまったくない忙しい人」のことを「間抜け」というのではないでしょうか.

「死んだ気になって」というのが,「一切の恥ずかしいという気持ちを捨てて生き直す」ということなのです.「おめぇは見栄っ張りだ.大いに往来で恥をかいて,その見栄を捨てな.そうすりゃ新しい道が見つかるぜ」と言ってくれます.

「露骨に悪態を言い合えば,必ずしこりが残って人間関係が収拾つかないようになってしまう」という状況を,その危機一歩手前で食い止めるという効果を果たしています.そしてその手法の根底にあるのが「ユーモア」です.ですから,「嫌なやつとの付き合い方」の要諦は,やはり「ユーモア精神」だといえます.このユーモア精神を養うためにも,大いに落語を楽しむことが大切です.

自分の不得意な分野のことを押し付けられても,それを自分の得意の中に収めて,いわば「自分のフランチャイズで勝負する」という姿勢を貫けば,いわゆる「窮すれば通ずる」という道が開けます.