坂の上の雲(1)

新装版 坂の上の雲 (1) (文春文庫)

新装版 坂の上の雲 (1) (文春文庫)

そういうものごとの理解力とともにいまひとつかれにおいて発達していたのは,他の明治草創期の指導者たちと同様,人物の選定眼であった.人間の能力を選別してそれに一分野を担当させ,それを支援するだけで一分野の建設は一人物にまかせてしまう,という方法であった.要するにかれは秋山好古という三十になったかならずの一大尉に日本の騎兵建設をまかせておく,ということであろう.