この国の行く末は如何に

マルクス資本論の論理では,商品は共同体と共同体の間から生まれる.そして商品交換の便宜から貨幣が生まれる.貨幣は商品の一つに過ぎないにもかかわらず,特殊な性質を帯びることになる.貨幣はいつでも商品に交換することができるが,商品はいつでも貨幣に交換できるとは限らないからだ.しかし,資本主義システムは商品が常に貨幣に交換可能でるという擬制によって成立している.資本の過剰によって,商品がふんだんにあっても,それを誰も買うことができない恐慌の恐れを常に資本主義システムははらんでいる.

資本の関心は自己増殖だけである.労働者が階級として団結し,異議申し立てをしないならば,搾取をどんどん強める.もっとも搾取にも限界がある.一ヶ月の賃金を得ても,翌月,労働するエネルギーを蓄えることができる最低限度の水準以下になると,労働者が労働することができなくなる.そうなると資本主義システムが崩壊する.現下日本で生じている二百万円以下の給与生活者が一千万人を超えるなどいう事態は異常だ.この状態では労働者が家庭を持って,子供を生み,教育を授けることが,経済的理由から不可能になる.そのことが理解できないほど,現下日本の国家エリートの状況分析能力が低下しているということだ.

このように倒錯した資本主義においては,人間が他社のために働くという労働が見えなくなってしまう.近代経済学が古典派経済学,マルクス経済学の労働価値説を放棄し,限界効用に価値を見出そうとするのは,労働という人間社会を存立させる原事実を見失ってしなったからだ.

日本の今後のシナリオは,おそらく三つある.(中略).第三は,日本で生活する人々が,国家の干渉を極力廃止,相互扶助,贈与を行うことで社会を強化していく.その結果として,日本国家が強化されるというシナリオだ.

新自由主義で貧富の差が大きくなり,そこにサブプライムローン問題が飛び火.日本(だけでなく世界中ですが)はムチャクチャです.手段を選ばず,自分だけが成功すれば良いというギスギスしたものになり,犯罪も増え,つまらない国になりそうで・・・.「国」という文字を「会社」に置き換えても同様な自分の周りです・・・.そういう大局観で動く人材はおらんのかのぉ.あぁ,悩ましい.