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ひらめきの導火線 (PHP新書)

ひらめきの導火線 (PHP新書)

創造性は一部の天才のものだという欧米的な考え方は,根強い.
ITの世界では,「一人の優秀なプログラマーが書くコードは,凡人プログラマーの百人や千人が束になって書くコードをしのぐ」という言い方がされる.
ノーベル賞的価値観は,その典型であるわけだ.(中略).だから,日本人の創造性は劣っているとずっと思い込んでいて,劣等感を抱いていたものだ.
だが,二十一世紀のキーワードである「多様性」「持続可能性」を実現するには,「一部の天才がインスピレーションや創造性を持っていて,それに頼る」という考え方だけではダメだということに思い当たった.

「みんなでやる」ことを徹底する.それを阻むのが,専門性にとらわれることだ.
一般に日本では,専門分野一筋の見解が権威を持つ.広範な分野に見識のある人は「なんでも屋」というレッテルを貼られてしまったりする.
しかし現代では,専門家だけで新しいものを生み出すことには無理がある.幅広い発想で総合的な取り組みをしないと飛躍することはできない.専門領域を超えてみんなが平等に智恵を持ち合うことへの変化が,強く求められる.

「なんでもかんでも欧米に合わせるのではなく,日本独自のやり方も捨てたもんじゃないよ」という日本人への応援歌みたいに読めました.