肩を張らずに

名探偵の掟 (講談社文庫)

名探偵の掟 (講談社文庫)

推理小説の現状を分析し,著者の思いをまとめたような本.

  • 犯人候補は若くて美人.もっとも犯人ではなさそうな人.
  • 大雪で孤立した山荘などの事件では,警察が介入することなく,たまたま同席していた名探偵が頑張れる.
  • その名探偵も2時間ドラマなら女性が良い.しかも出演者を見れば犯人がわかる.
  • 部屋の見取図・アリバイの時刻表・暗号などを紹介しても,読者はそれから犯人を探すようなことはしない.
  • 童謡殺人では最後まで殺人が行われる.(途中で犯人が捕まることは無い)

てなことを面白く書かれています."そんな推理小説ばかりで良いのか?"という著者の思いがビシビシ伝わってきます.
しかし,推理小説を自ら謎解きしながら読む読者なんてどれだけいるのでしょうか? 読みやすさが一番なのではないでしょうか? そう思うんですよね.水戸黄門で考えてみると・・・

  • 水戸黄門が助ける相手の悪者は,必ず紋所を理解できる人でないとダメ.長屋の隣のオッサンなら紋所を見せたところで「なんだ,おめぇは?」と言われてしまう.ひょっとすると,事前調査によって助ける相手を事前に選んでいるのかもしれない.
  • 全国を自ら回って悪者退治するなんて非効率極まりない.まずは江戸(水戸?)で優秀なスタッフを大勢育て,それから全国に配置する方が効率的なはず.つまりは組織のTOPとしては失格.

なんてことを考えて水戸黄門を見てはイケナイのである.痛快な勧善懲悪モノとして楽しむべきなのである.ドンくさい八兵衛を見て,同じような立場の自分を慰め,由美さんの入浴シーンを見て感動すれば良いのである.きっと(笑).